貴方の見ているドメインは

ドメイン www.windwardstudio.com

このページについて

    「あんまり、ぢつとしとつてもな、身体が生なまに、なるもんぢやから」

    「御病人はどちらで?」

    「折角のところを、突然でまことに失礼でありますが」

    「もうこんなに暗くなつているのにね、何してるんでせう」

    「あれなら、私の方からいゝやうにしときます」

    練吉は一人で感心し、それでも足りないと見えて、房一に呼びかけた。

    「さうなんですよ。まあだ帰らないの」

    「今晩、寄せてもらつてもえゝですか」

    その外から見れば屋根と築地塀だけのやうな家の前で、三人の男が立つてしきりと話していた。

    「どうもおれは、身近かな者だと平気で診られないんだね」

    「な」の字さんもわたしも足を止めながら、思わず窓の中を覗のぞきこみました。その青年が片頬かたほおに手をやったなり、ペンが何かを動かしている姿は妙に我々には嬉しかったのです。しかしどうも世の中はうっかり感心も出来ません、二三歩先に立った宿の主人は眼鏡めがね越しに我々を振り返ると、いつか薄笑いを浮かべているのです。

    「うん、もうさつき帰つたよ」

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40